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カシマ3号

Author:カシマ3号
東京某区生まれ、中央線育ち。いろんな人がいてバラエティ豊かなのが東京のいいところ。もちろんイシハラさんがきらってる人たち、たとえば外国人や同性愛者も含めて。
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2007/03/20 (Tue) 00:10
大久保から寄せられた声

今回は、ぼくの文章ではなくて、「街の声」を採取してきました。
大久保に住む車さんです。
あるとき、ぼくが車さんの家におじゃましたときのことです。
娘さんのユミちゃんの通う小学校の話ではクラスの半分くらいが外国人だという話を、大人たちでしていました。するとユミちゃんが、「何の話?」と聞いてくるので、「ユミのクラスの子の半分くらいは外国人の子だって話」とお母さんが教えてあげました。
するとユミちゃんは「え?外国人の子なんていないよ」と言うのです。
「そんなことないでしょ。いつも遊んでるパソーンちゃんだって外国人でしょ?」とお母さん。
「ううん。パソーンちゃんはタイ人だよ。馬くんは台湾人でしょ、李くんは韓国人でしょ…だから外国人の子はいないなあ」。
それでは、そんなカラフルな街からの「声」をお読みください。



「三国人」の街で   車万作

生まれも育ちも新宿・大久保である。
私たち住民は、親しみと多少の恥じらいをこめて、この街を「国際都市」と呼んでいる。

初めて新大久保駅に降り立った人は、誰もが驚くらしい。聞こえてくるのは、韓国語、中国語、タイ語、そして、ロシア語、スペイン語などの外国語、その割合が、日本語を圧倒的に上回っているからだ。
これだけ、雑多なアジア的風景が見られるという点では、日本広しといえども、ここ大久保が一番ではないか。多様性、という視点で考えれば、大久保は、まさに、「都市」なのだ。白金よりも、自由が丘よりも、おそらく、「都市」だ。

当然、この地域の小学校、中学校も、生徒の半数以上が、両親、あるいは、親のどちらかが日本国籍ではない、ということになる。ここでは純粋な日本人の方が少数だ。もっとも、「純粋な日本人」などという概念自体が怪しいとすれば、そんな議論もトートロジーに陥ってしまうのだけれど。

子どもたちの通う小学校は私の母校でもあるのだが、噂では、新宿区で最も人気の低い学校のひとつらしい。気持ちはわからないでもないが、やはり、どうかしていると思う。何故、この学校を日本の「最先端」と思えないのだろう。何しろ、「国際都市」である。ニューヨークだって、パリだって、ロンドンだって、そんな学校ばかりである。多様性を拒絶していたのでは「都市」ではない。「田舎」である。こういうところで育ってこそ、私のように「シティ・ボーイ」と呼ばれる権利があろうかというものだ。
子どもたちは、様々な文化背景を持つ友だちと当然のように遊び、ケンカをし、学んでいる。まさに、日本の「国際化」の最前線にいるのだ。

そんな学校だからこそ、ちょっと困った事態にも遭遇する。文化や価値観の違いによる衝突、とか、そんな凡庸な話ではない。例えば、卒業式であり、入学式だ。そう、あの、国歌の斉唱というやつ。あれがいたたまれない。式典に参列するのは、子どもたちだけではない。その親もいる。様々な事情から日本の学校に子どもを通わせているとはいえ、ちょっとでも考えれば、壇上の日の丸に向かって「君が代」を斉唱させる、という行為は、どうも趣味が悪い。私だって本当なら起立もしたくない。しかし、気の弱い私はそこまでして白い目で見られたりしたくない。一応、立つ。で、歌わない。せめてもの抵抗である。
「裏声で歌へ君が代」という小説があったけれど、この場合は、「口パクで歌へ君が代」ということになる。いや、実際には口さえも動かしていないのだが。
まわりにいる、韓国人や中国人、フィリピン人などの親をちらちらと気にしながら、心細く立ちすくんでいるのである。その気まずさがおわかりだろうか。

校長が壇上に上がり、日の丸に一礼する。息を呑むスリリングな一瞬である。もちろん、幸いにも、そこで暴動が起きたり、野次や唾が飛んだりするようなことはない。みなさん、そこは大人なのである。私に気を遣ってくれているのだろうか。もちろん、そんなことはない。

この街で「君が代」を斉唱するときの気まずさを救うために、どうこうしろ、などとはもちろん言わないが、国歌を歌わせることで得られるものと、国歌は歌わなくても演奏しなくてもよい、ということで得られるもの、そのどちらが大きいのだろう。せめて、それくらいのことは考えてもらいたい。この街では、これは現実論なのであり、もうあともどりはできないのだ。

そこかしこに、踏み絵があり、地雷が隠されているような、そんな空気、誰が見ても健全ではない。
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